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「ミリオンモージャ」連載中の加藤航平先生にインタビュー!

公開日 2026/04/16

世界中に広がり続ける"タテマンガ"。興味はあるけれど、タテマンガの描き方が分からない。そんな人のために、第一線で活躍する人気タテマンガ作家さんにインタビューをして、"生きている知識"を皆さんにお届けします!

加藤航平

第1回ジャンプTOON AWARDにて、大賞を受賞。2025年12月18日より、ジャンプTOONで新連載を開始した「ミリオンモージャ」の原作・ネームを担当。

ミリオンモージャ

「地獄」──ここでは、生前悪事に手を染めた亡者達が日々降り注ぐ。そんな亡者達をシバきあげ、反省させる仕事が「獄卒」だ。 ベルは、地獄でいちばん怠惰な獄卒。"上司"と"日々の仕事"を何よりも恐れ、星の数ほどの遅刻、脱走を優雅に繰り返す。 「"王"とか"最強"とか"悪の頂点"とかそういうのもう飽きたなァ」 最新ゲーム発売日を迎え、上司にバレないように仕事も早々に切り上げるベルだったが、なにやらその日常はゆっくりと大きな事件に巻き込まれていて…。 前代未聞のドタバタ日常バトルコメディ開幕!

──加藤先生は原作・ネーム部分を担当されていますが、打ち合わせから完成に至るまでの具体的な流れを教えてください。実際のネームの描き方や使用しているソフトやアプリなども教えていただけますと幸いです。

打ち合わせでは担当さんと一緒に「この1話でやらなきゃいけないこと」や「欲しい雰囲気」などを早々に洗い出します。それを「楽しく伝える方法」を思いつくのにいつも時間がかかります。その1話を牽引する「強いシーン」や「強いセリフ」など。これがないまま描き始めても僕の場合あんまりロクなことにならないので、あれこれ殴り書きをしながら、出てくるまで粘ります。ネームにするのはそれが決まった後ですが、大概、そのアイデアを活かすためにプラスで幾つかのアイデアが必要なことがほとんどで、ネームが仕上がる頃にはいつもぐったりしています。 制作環境はCLIP STUDIO PAINTをiPadで使っています。ストーリーエディター機能を使ってみたらとても便利でした。もっと早く知りたかったです。ネームまでの作業でも、左手デバイスはあると良いと思います。僕はtabmateを使っています。

──ネーム完成後、完成原稿に至るまで線画は nan先生、着彩は集英社TOON FACTORY(以下STF)が担当されているかと思います。加藤先生として、nan先生や STFへのイメージ・ニュアンスの共有はどのように行われているのか。また、その際に意識していることがあれば教えてください。

ネームでバシッと伝われば良いのですが、僕に画力がないので、半分以上のコマに「こういう状況で、このキャラはこういう動きをしています。こんな印象のコマにしたいです」的なコメントを入れてなんとかしています。新キャラや新舞台など、詳細なイメージ共有が必要な際には、別途参考資料を添付しています。 僕の中に完成図があってそれを共有するため、というよりは、nan先生とSTFさんのセンスと技術を頼らせていただく前提で、「ここは流石に説明がないと何をどう描いたらいいか分からなすぎるかもしれない」と思う場所に資料を作成し、その資料を作りながら僕も自分の中のイメージを最低限固めていく、という感じです。最終的には餅は餅屋と思っています。

──加藤先生は元々ヨコマンガでも受賞経験があったと伺っております。タテマンガを描き始めたきっかけを教えてください。

第1回ジャンプTOON AWARDが開催されたときに、その時働いていた会社の社長が「出しなよ!」と背中を押してくださいました。縦読みを描いたのはそれが初めてなので、まだ描き始めて2年くらいです。横読みも好きなので、隙あらばまた描きたいですね。

──「ミリオンモージャ」では、主人公のベルやラム、バツナナの面々など個性豊かなキャラクター達が印象的です。キャラクター作りの面や、エピソードの描き方で意識されていることがありましたら教えてください。

可能な限り、状況がキャラクターを動かすのではなく、キャラクターが状況を動かすお話づくりを心掛けています。あとは、ストーリーが出来事を追うだけになってしまわないように、キャラクターの感情面でどういう展開を持つ話なのか、は毎話毎話で気を抜かず考えて演出していきたいなと思っています。

──タテマンガはヨコマンガとは違ったコマ割りや魅せ方になると思います。タテマンガのコマ割りで感じたことや、ネーム・原稿作業時に意識していることがありましたら教えてください。

物語の伝え方が、横読みはレイアウト、縦読みはプレゼンテーション、なのかなと思っています。 横読みでは、ひと目で見開き2ページ分の情報が目に飛び込んできます。これが作り手を悩せるところでもありますが、エンタメとしての強みでもあります。逆に縦読みは(コマ割りにもよりますが)2コマ先は闇です。退屈なコマや「今なんの時間?」というコマが3コマ続くだけで、読者はいつまでこれが続くのか分からず、とても不安になります。1コマ1コマ見せていく中で読者の興味を繋いでいく意識が、よりシビアに求められると感じています。 基礎的なことから個人的なことまで色々意識していることはありますが、最近は上記のものがホットです。

──週刊連載を進めていく上で、毎週1話ごと作る際に意識していることがありましたら教えてください。

「面白かった!」&「次はもっと面白くなりそう!」の両方を毎週感じてもらえるといいなと思って頑張っています。

──タテマンガをジャンプTOONで描いてみての感想や、良い意味でも悪い意味でもギャップなどありましたら教えてください。

縦読み市場はトレンド感が強いイメージだったので、トレンドを無視した鬼っ子かわいげ日常お仕事バトルキャラコメディをこんなにのびのび描かせてもらえるというのは、僕にはとてもありがたいギャップでした。原稿料もかなりしっかりいただけて驚きました。

──「ミリオンモージャ」は、第1回ジャンプ TOON AWARD の大賞を受賞され、その後連載に至っています。ジャンプ TOON AWARD に応募した理由、大賞を受賞された時の気持ちを教えてください。

前述の通り、当時勤めていた会社の社長に背を押していただいたのがきっかけです。あと、連載してみたかったので、連載権目当てで応募しました。 「絶対に大賞を取るぞ!」と決意し、そのために企画を練って応募したので、受賞した時にも「よし!連載準備だ!」とすぐに切り替えられた気がします。ひとしきり浮かれましたが。

──大賞受賞作品からどのように連載用のネームを作られたのか、制作過程で意識したことや苦戦したことがありましたら教えてください。

初めは連載のイメージとして「すごろくのような全体の計画があり、その上を1つ1つコマを進めていく」のかな?と想像していたのですが、担当さんから「3話後や5話先に最終回があるくらいの勢いで描かないとダメ。毎話毎話、その時できる最大火力を叩き込まないと、読者はすぐに飽きちゃうよ」と言われカルチャーショックを受けました。 どうやら連載とは「ゴールの灯台だけ見据えて海へ出て、毎週くる波を全力で乗りこなしながら先を目指すサーフィンのようなもの」らしいと今は思っています。そのライブ感には今でもずっと苦戦していますが、描けば描くほど波乗りが楽しくもなっています。

──タテマンガの連載を目指す新人作家の皆さんにメッセージを!

「縦読みは〇〇だ!」「縦読みは〇〇じゃなきゃダメ!」みたいな風説がいろいろあって困ると思うのですが、腹落ちしないものは無視しちゃっていいんじゃないかなと思います。始まったばかりのエンタメなので、まだ誰も本当のことなんか分かっていないと思った方が楽しく取り組めると思います!

──加藤先生、インタビューにご協力いただきありがとうございました!

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